ナルサス 原作ベース
最後の大激突なしに和解した2人の捏造中忍試験。
		
		
		
	
 やっと受けられた中忍試験でいかんなくドベぶりを発揮したナルトは、合格とは程遠い点数の筆記試験の結果であるところのペーパーを手に嬉しそうに宣った。
 「これこれ、サスケの名前だってばよ!」
  筆記試験の常で右上に書かれた赤の数字は『39』。
  何が俺の名前なんだ、こじつけも良いところじゃないか、と思いつつもそこはかとない嬉しさが胸の奥にじんわりと湧き上がる気もして。
 「このウスラトンカチ。それで合格出来るつもりかよ」
  表情が弛まないように制御するのがこんなに難しいなんて初めてだ、などと思いつつ返したサスケだったのだが。
  本当に全く、そこに思い至ってなかったナルトは途端、「わーーーーーっ」と叫び。
 「どーしよ、どーしよ、サスケ。オレってばオレってばこのままだと中忍試験不合格だってば」
  と、そう暫く喚き騒いでいるナルトに何となくのほの暖かなものがほわほわと充ちていく胸の中に一人わたわたと慌てて。 それを表に出さないように押し込めることに躍起にもなっていたのだ。
 「サスケと一緒に中忍になるんだってばよ! サスケェェ、実技試験手ぇ抜いて今回の中忍試験は落ちてってば!」
 「何、今更に騒いでんだ? ほんっとにおまえは相変わらずどうしようもないドベだな」
  だが、ナルトはやはりナルトである。
  エスカレートした挙げ句のお願いにはさすがに呆れが、そこはかとない胸の温かみを上回り今度は遠慮なく冷たい視線をお見舞いする。
 「えーーーーーーーっ、サスケ冷たいってばよぉぉっ」
 「おまえはどこまで脳筋なんだ? だいたい今回、俺が落ちるとして次には受かるだけの知識をそのシワの全く無さそうな脳ミソに刻み込めることが出来んだろうな?」
  ああん?、と凄みながらの問いかけとなってしまうのはもうナルト相手の仕様というものだ。
  サスケの問いかけにナルトは暫く腕を組んで真剣に考える。ーーそれだけのモノがサスケの声には含まれている。
  だがしかし、いかんせんあくまでもナルトでしかなかった。
 「次は大丈夫だってばよ。いざとなったらジゼンに試験問題調べるってば」
  それは事前に試験勉強を真面目にする、という宣言ではないだろう。
  こンのウスラトンカチがっ、と怒鳴ろうとしたサスケの機先を制して、慌ててナルトが「冗談、冗談だってば。真面目に受けとんなよ」と遮るのだが、それこそ日頃往生だと返してやりたいサスケである。
  そして。
  にしし、と笑って。
 「次までにサスケが教えてくれればぜんっぜんオッケーだってば」
  などと宣うナルトにサスケは深く深く溜め息を吐く。
 「俺は高くつくぞ」
 「そんなの知ってるってばよ! 足りない分はちゃんと身体で返すから!」
  安心しろってば、などとぬかしたウスラトンカチに今度こそサスケは鉄拳制裁とばかりに千鳥をお見舞いした。
		
		
		Copyright (c) 2021 SUZUNE ANGE All rights reserved.
	-Powered by HTML DWARF-